ISBN:978-4-86387-158-8
120頁/サイズ:B5
発売日:2022/1/11
発行所:(株)美巧社
著者:橋詰 茂
瀬戸内海を視点とした歴史発見の旅への誘い
瀬戸内海は原始古代の時代より、西国と畿内を結ぶ海の大動脈として、多くの物資や人が往来していた。海の時代と呼ばれた中世、全国に名を知らしめた近世の廻船など、それは瀬戸内海との関わりから生み出されたものである。瀬戸内海地域には、漁労・製塩・水運など海に携わる多くの人々が存在し、活発な活動を行い旺盛な生活力を持っていた。そこでは船を利用して、新たな技術や文化・信仰が各地へ広がっていく。それを受け入れた人々は、新たな生活様式を生み出していくのである。
島は不便な地域と思われがちだが、それは島外で生活している現代人の身勝手な考え方に過ぎない。船は海を利用してどこへでも移動できる便利なものである。そのため島にはその島独自の歴史的文化が生まれ、現代にいきずいている。また、その船が係留するために各地に港が開かれ、多くの人々が集住する。そこには政治・経済・文化などあらゆるものによって新たな町並が形成されていった。今に残る港町はその時代に誕生したのである。
我々は便利さを追求したがために、古き時代の良さを年々失い続けているように感じる。その古き時代を今一度訪ね、中近世の瀬戸内海地域の様相を垣間見てみたい。瀬戸内海に浮かぶ島々と、海を取り巻く周辺の港を舞台として、その地域の自然的景観と歴史的過程、またそこに住した人々の生活様式を見つめ直していきたい。そして、そこから現代に生きる我々のこれからの生き様を考えてみたい。瀬戸内海の島で生まれ育った筆者は、常に島への愛着を持っている。当初は、住する讃岐だけの予定であったが、讃岐と深い関わりを持つ瀬戸内周辺地域を取り上げることとした。
さぁ、それでは新たな歴史発見の旅に出立しよう。