歴史・地理

中世の讃岐

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ISBN:978-4-86387-078-9
304頁/サイズ:A5/第2版
発売日:2005/7/29
発行所:(株)美巧社
編著者:唐木 裕志、橋詰 茂、大山 眞充、渋谷 啓一、その他

平安後期から戦国に至る讃岐を絵解く

 中世の讃岐を絵解きしてみたい。当時の景観を再現してみたい。その時の場面を描画してみては、との想いがあった。幸い先行出版された『古代の讃岐』と『近世の讃岐』とがあって、本書はシリーズとして両書の間隙を埋める3冊目となるものである。
 中世の讃岐は、これまで「華」がなく、配流の国柄として暗いイメージで語り始められることが常のようであった。それは、崇徳上皇や法然・道範などの貴人・高僧といえども流人の立場から悲壮感が漂う一面があったからかもしれない。けれども、古来「臨海の近国」という表現があって、これは必ずしも讃岐国を指すものではないが、中世の当国は常に京洛の政治や文化の影響下、というよりはそれらを担う当事者の往復によって畿内に密接した「近国」という位置を占めていたと思われる。都鄙を行き来すること、つまり、京都に上洛し讃岐に下向するためには瀬戸内海という交通の場があることは言うまでもないが、この海が、実は中世では交通の障壁ではなく、むしろ交通の利便性を増すものであったことを知るべきである。現代の我々は、海や川は交通の妨げでしかないが、中世では、逆に、それを増進させるものであった。
 本書は、また、「四国」という視野、具体的には阿波や伊予・土佐から見た中世の讃岐についても表現してみようと思案した。そこで、特別寄稿者として、それぞれ在地の研究者からの玉稿を鏤めさせてもらった。従来の郷土史関係書と一味違った特色を持たせたのではないだろうか。