近世の讃岐
2,200円(税込)
小計 2,200円(税込)
ISBN:978-4-86387-042-0
392頁/サイズ:A5/第2版
発売日:2000/11/21
発行所:(株)美巧社
著者:〔編著者〕 木原 溥幸 〔著者〕 井上 勝之、 植村 正治、 岡 俊二、 小山 泰弘、 千葉 幸伸、 平井 忠志、 眞井 孝征、 丸尾 寛、 溝渕 利博、 渡部 明夫
安土桃山、江戸時代を掘り下げる
江戸時代の讃岐の人物で全国的にもっともよく知られているのは平賀源内であろう。志度の蔵番の子に生まれたが、のち江戸に出て博物学を中心として多方面に才能を発揮した。また柴野栗山は牟礼出身の儒学者であったが、徳川幕府の改革の一つである松平定信の寛政改革で行われた、儒学のなかで朱子学を正学とする異学の禁を建言した人物として著名である。
一方、かれらとは違って讃岐で活躍した人たちとして、讃岐出身ではないが生駒藩の重臣で土木家の西島八兵衛、蘭学を学び全国的にも早く西洋医学にふれた合田求吾・大介兄弟、讃岐三白の一つ砂糖の製造に尽力した向山周慶、測量に詳しく坂出塩田を築造し発明家でもあった久米栄左衛門など、多くの人の名を挙げることができる。
しかし名を歴史に残さなかったにしても、近世の讃岐の発展に力を尽くした人々が大勢いたことはいうまでもない。砂糖は讃岐の近世の代表的な産業としてその経済的発展を支えたのであり、向山周慶の功績は大いに評価しなければならないが、一方、砂糖生産に従事していた多くの農民や、大坂を始め西日本各地へ砂糖を売り広めていった船頭たちがいたのを忘れることはできない。
こうした讃岐の近世の歴史を支えた各時期、各層の人々の生活の姿を明らかにして、そこから現在を生きる私たちにとって、これから先の何らかの指針となるようなものを得ることができたらとの思いで、一般の読者を対象にしてつくられたのが本書である。